山下清|放浪先の風景を貼絵・素描画で描いた天才画家

芸術家紹介
山下清

山下清のプロフィール

山下清

出典:Wikipedia

名前 山下清
国籍 日本
生誕 1922年3月10日
死没 1971年7月12日

山下清の生涯

山下清は、1922(大正11)年3月10日、東京府東京市浅草区田中町(現: 東京都台東区日本堤一、二丁目辺り)にて、父・大橋清治と母・ふじの長男として誕生しました。

翌年に起こった関東大震災によって町一帯が焼失し、一家は両親の出身である新潟市に転居しました。

清が3歳の頃、風邪をこじらせて命の危険に陥ったものの、一命をとりとめました。
その際、軽い言語障害と知的障害が後遺症となったとされています。

1934(昭和9)年、清が12歳の頃、千葉県にある知的障害児施設(当時は救護施設と言われていた)「八幡学園」に預けられました。

学園での生活の中でちぎり紙細工に出会い、生活の様子を描いた貼絵や花の静物画の貼絵などを制作するようになりました。

制作するうちに才能がどんどん開花し、昭和13年に早稲田大学大隅小講堂で開催された「特異児童労作展覧会」にて作品が展示され、同年には銀座の画廊で初個展も開催されるなど、若くして清の才能に注目が集まりました。

18歳の時、清は八幡学園からリュック1つだけを背負って突然脱走し、放浪の旅に出ました。
この後、学園の職員に見つかって連れ戻されては脱走し、食堂で住み込みで働いては放浪の旅に出るなど、約15年にわたって放浪をする生活が続きました。

清は驚異的な映像記憶力の持ち主で、放浪中に出会った風景を、自宅や学園に戻った際に、貼絵や水彩画、油絵など様々な手法で緻密に描きました。
特に花火が好きで、全国各地の花火大会を訪れては、その情景を絵にしていました。

画から溢れる鮮やかな個性から、「日本のゴッホ」や「裸の大将」と称されるようになりました。

1954(昭和29)年、32歳の時に鹿児島で放浪の旅を終えて東京に戻り、その2年後には東京で開催された「山下清展」をはじめ、巡回展が約130回も開催され、500万人の人が訪れました。

39歳の時にはヨーロッパ9か国を40日かけて訪れ、各地の名所の風景を貼り絵や水彩画に描きました。

晩年は、東京にて弟の山下辰造一家と一緒に生活しました。

「東海道五十三次」の制作を志し、42歳から東京から京都まで取材・スケッチ旅行を約5年間続け、55枚の絵を残しました。

晩年の大作「東海道五十三次」も他の作品同様、旅の途中にはほぼ絵を描かず、自宅で記憶をもとに緻密な素描画や貼り絵を描いた作品でしたが、旅の途中で眼底出血を起こしたため、完成が危ぶまれたこともありました。

49歳の時、脳出血でこの世を去りました。
人柄がにじんだ温かみがある貼り絵や水彩画の作品は、時代を超えて今も愛されています。

山下清の作風

山下清の作風は、

  1. 緻密で温かみがある貼絵
  2. 驚異的な記憶力による風景の再現

この2つが挙げられます。

山下清

出典:日曜美術館

「長岡の花火」をはじめ、山下清の貼絵の特徴は「緻密さ」です。

指でちぎったとは思えないほど細かな色紙のチップが貼り付けられており、遠目には貼絵とはわからないほどです。
さらに、細かなチップを貼り重ねることで、厚みと立体感が演出されています。

山下清は花火を好み、花火大会の作品を多数残しています。
紙をねじって細くした「こより」を駆使して花火が打ちあがる様子を臨場感たっぷりに表現しているのも、清ならではの作風です。

山下清

出典:上野の森美術館

山下清の驚異的な映像記憶力が、作品の個性を際立たせています。

貼絵やペン画、水彩画など様々な手法で制作された作品のほどんどが、自宅や八幡学園に帰ってから、記憶をもとに描かれています。

山下清の作品

長岡の花火

山下清

出典:山下清画「長岡の花火」シリーズ

山下清は花火が好きで、放浪中に花火大会に行っては花火の絵を描きました。

「長岡の花火」は、夜空と信濃川に輝く花火の鮮やかさを描いた作品で、よく見ると黒・白・黄色・赤・青の5色しか使っていません。

指でちぎったとは思えない小さな色紙を重ねることで、微妙な色合いや立体感を表現しています。

東海道五十三次

山下清

出典:足立区綾瀬美術館ANNEX

山下清が42歳のころから制作に取り掛かり、晩年の大作として知られているのが「東海道五十三次」です。

東京から京都にかけて約5年かけてスケッチ旅行を重ね、ドットを細かく重ねた温かみがあるタッチの素描画で、各地で見た景色が緻密に描かれています。

彼の他界後に、三重の桑名から京都までのスケッチがアトリエから13枚発見され、55枚の大作として完成となりました。

山下清の関連書籍

日本ぶらりぶらり

半ズボンに坊主頭、リュックを背負って九州、山陰、東北とぶらりぶらりの珍道中。「わしも山下清に毛のはえたような男です」という言葉を耳にした清は、「ぼくのどこに毛がはえるとあなたになるのですか」―。笑いを誘い、かつ考えさせられる文章とスケッチで綴る放浪記。出典:Amazon

山下清のすべて

出会いたかった「裸の大将」がここにいる!懐かしい日本の風景を描いた主要作品のほか、人物伝や放浪日記など、その魅力を集大成。

出典:Amazon

 

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